アクセス解析イニシアチブ主催のアトリビューションについての分科会に参加してきました。
講師は、朝日広告社の前田さん、MediaMindの渡邉さん。
MediaMindは、インターネット広告の第三者配信テクノロジーを提供している会社です。
今回は、前半に前田さんによるアトリビューション分析の手法と事例、後半は渡邊さんが、リッチコンテンツの分析手法の紹介について、2部構成でプレゼンがありました。
■朝日広告社 前田さん
まずは、アトリビューションについて簡単な説明がありましたが、ここでは割愛します。
朝日広告社さんでは、均等配分モデルでアトリビューション分析をしているそうです。
以下のような表を作成して、アロケーションポイントを媒体ごとにスコアリングして評価しています。
評価としては・・・
媒体D > 媒体E > 媒体A > 媒体B = 媒体C
と、ポイントが高いメディアがえらいようです。
さらにクリエイティブの評価も行っており、
「Attribution ratio」という評価方法を採用しています。
Attribution ratioって?
ユーザが媒体にどのくらい接触したかを集計して、「Last ÷ First」で算出するものです。
Attribution Ratioの値が1.0より小さければFirst Touchに効果があり、1.0より大きいとLast Touchの方が効果があるって見方のようです。
ad:techでもプレゼンしていたので、ご参考ください。
アトリビューションが切り開く新しいメディアプランニングとは
ここからクリエイティブマッピングを作成し、最も効果があったものを可視化して、次回配信の際に効果があるクリエイティブを採用しています。
縦軸がコスト、横軸がAttributino Ratio、バブルの大きさがCV数を表しています。
A3、A4、B3がクリエイティブとして評価が高そうですね。
シナリオ配信
アトリビューションの分析方法とは別に、MediaMindさんの配信エンジンを利用して、シナリオ配信を行っているそうです。
広告から、心理変容をコントロールすることによって、コンバージョンする件数が変わってくるそうです。
- 認知させるクリエイティブ
- 興味喚起させるクリエイティブ
- 比較・検討させるクリエイティブ
上記を考慮したクリエイティブを作成して、ユーザの状態に適した広告配信しているそうです。
確かに、いきなり比較・検討させるクリエイティブを見せても刺さらない気もします。
逆に、上記のようなシナリオがないと、アトリビューション分析はやる意味がないですね。
アトリビューション分析を行うための体制
今まで説明してきた内容を行っていくためには、以下のような体制が必要みたいです。
- メディアプランナー
- データテクノロジスト
- コピーライター
色んな役割の人が必要ですね。
制作、システムの人達も必要になってくるかもしれません。
ここまでやることで、今まで連れてこれなかった顧客を見つけれらそうです。
■MediaMind 渡邉さん
「Dwellからのアトリビューション分析」という題材でお話いただきました。
「Dwell」ってなんすか・・・?
『Dwell』を解説してみる、 その1「Dwell on Branding」
リッチメディアのディスプレイ広告に対して、ユーザレスポンスを詳細に取っていき、どれだけ効果がありそうか判断する指標みたいです。
例えば、マウスオーバーしたか、どこをクリックしたかなど。
リッチメディアでは、インプレッションの価値を高めることが重要だそうです。
以下で、Dwellを算出できます。
Total Dwell(Dwell値) = Dwell Rate(Dwell率) × Dwell Time(Dwell平均時間)
Dwell Rateは、すべてのインプレッションのなかでDwellしたインプレッションの比率
Dwell Timeは、広告に「Dwell」した平均時間
またMicrosoftがリッチメディア広告におけるエンゲージメントに関する資料「Dwell on Branding」を書いています。
Dwell on Branding - Report from Microsoft, Eyeblaster and Comscore
View more documents from Victor Rodrigues
この資料によると、800のキャンペーンからDwell値を算出して、High Dwell、Low Dwellを分類して比較しています。
広告に接触してから検索を行ったユーザが、HighとLowで比較すると3倍以上違うようです。
また、サイト訪問者数では70%アップ、サイトPV数は125%アップしたようです。
業種やクリエイティブによるかと思いますが、効果は期待できそうですね。
リッチコンテンツのポイント
リッチコンテンツを制作するポイントとして、以下を挙げていました。
- 長時間、目に付くところに(例えばメッセンジャーとか)
- 動画コンテンツ
- とにかく目立たせる
リッチコンテンツとしては、朝日広告社さんで言うところの、認知や興味喚起するクリエイティブに向くコンテンツだと思います。
MediaMindさんの事例です。
Creative Zone Served by MediaMind
最後に、
アトリビューション分析は、取り組んでいるところは増えてきましたが、まだ定義も明確に決まっていないし、大きくは違わないですが各社違う方法でアトリビューション分析を行っています。
もちろん、ソーシャルメディアと一緒で決まった方法はないですが、まだ環境も整っていなかったり、
とりあえずアトリビューションは流行っているからやってみるかって感じでもない気がします。
また次回に想っていることを書こうと思いますが、もちろん第三者配信によるデータや、トラッキングデータ、検索ログも含めながら、色んな視点でユーザの状況を把握する必要があると感じました。